え? Power Chorus ハモネプに? -パワーマダムの挑戦1

生きてると時々おどろくようなことがある。

「この曲でハモネプの予選受けてもいいですか?」

と、Power Chorus マチサガ! のリーダー友美さんが僕に尋ねたのが6月のこと。Power Chorusの8チームが集うShowcaseが終わった直後だ。

今年のPower Chorusのテーマ「Peace Songs」にしたがって、ルイ・アームストロングのWhat A Wonderful Worldの僕のアレンジをクラスで歌った。バンドでの伴奏を想定したアレンジだが、女性の最低音まで駆使した4声で書かれており、「まあ、やろうと思えばアカペラでも歌えます」と、ちらっと口にしたことがあったのだ。

「もちろんどうぞ。」

と僕は答えたものの、ポップアカペラと、Power Chorusが基調とするゴスペルという音楽は、全く違うアートだ。ある意味では正反対とさえ言える。

一つのパートを大人数で支えあいながら歌い、荒々しさももちつつシンプルなハーモニーで言葉の心を伝えるのがゴスペル。

一方、一人一人に繊細な音感が必要とされ、慎重に組み上げたアレンジと演奏スキルを見せるのがポップアカペラ。

Power Chorus マチサガ! は、町田か相模大野で平日金曜の午前に行っているPower Chorus クラスで、参加者は主婦中心。ここ1年半ほど、子育て中盤から終盤ていどまでの8名の女性達を中心に歌ってきた(2015秋現在11名)。かつてエレクトーンやピアノを弾いたという人はいるものの、決して専門家集団などではない。

ポップアカペラの世界にどれほどの猛者がいるのか知っているだけに、友美さんに聞かれたその時には、周りの人たちを見てくるのはきっと勉強になると思ったくらいだ。それに、テレビ番組の予選だなんて、きっといい思い出になるだろう。

マチサガ!のメンバーたちは日程の都合がつかなかった1名を除く7名で、結局都内の会場で予選を受けてきた。

予選を終えてきた直後、マチサガのメンバーたちが打ち上がっているレストランに、僕は別の仕事の後で合流した。「結構うまく歌えた」と報告してくれたメンバーたちの顔は部活の女子高生のように輝いていた。僕はこの件はメンバーたちに任せてここまでタッチしていなかったが、プロデューサーにアレンジをすごく褒められた、と言ってくれ、僕も参加感いっぱいでビールを頂いた。女性だけのグループが第一に珍しく、また、チームの年代が珍しかったこともあったそうで、アレンジの出処も含めて根掘り葉掘り聞かれたのだという。それを、一人ひとりがいかにプロデューサーに答えていったか事細かに、みな楽しそうに話すのだ。

結果発表は出演が確定したチームにだけテレビ局から連絡が来る、という話について、「不親切なようだけど、まあしょうがないねー」みないな会話があった。

祝宴は、「私たちの夏は終わった」感さえ香っていた。

 恐るべき連絡は8月10日。「先生、ハモネプから連絡がありました…」と、友美さん。

えーっと、どういうことだこれは。今回は出ない人にも親切に連絡があるということかな? それとも、友美さんは何か変な冗談で僕をひっかけようとしているのか。

予想外の展開を突きつけられた瞬間、人はわけわからないことを数秒考える。一呼吸して、「ああ、出演するということか」と、やっと理解し、その後に驚きがくる。

え? 出演するということか?

 聞くと、受けたのは約750組、番組出演は15組だという。一都道府県から一組もいないということじゃないか。これはどういうことなんだ?

そこからはてんやわんやだ。

出演するための曲のアレンジを2日で用意し、名前を「パワーマダム」と改める(この時までにPower Chorusマチサガ! は11名になっていたため、実質的に違う団体となる)。金曜のクラスにはディレクターが取材に来て、メンバーは毎日のようにスタジオに入った。まさかの事態に直面したマダム達の戦いの日々が始まったのだ。

つづく…

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