Power Chorus マチサガを中心に、大田、DUC、厚木Praise Teamからメンバーが合流し、厚木基地の祭りで歌った。
基地を解放して行うこのフェスには、ゲート解放の2時間前から1Kmの行列ができる。昼までには行列は5Kmにもなる。
入る人々のセキュリティーチェックが空港の搭乗口並みで、入構に時間がかかるためだ(もちろん演奏者は別枠として行列に並ばずに入る)。
多くの人々の目的は野外ステージでもホットドッグやスペアリブの屋台でもなく、滑走路で行われる飛行機の発着ショー。行列には巨大なレンズをつけたカメラを提げた中年男性が目立ち、ゲート解放と同時に一目散に滑走路へ向かって行く。
ゲート解放から30分。まだまだ閑散としたフィールドに組まれた野外ステージで、最初の出番としてPower Chorus は歌い始める。
演目の冒頭は、People Get Ready, Higher Ground, What A Wonderful World。
往年のPeace Songs、今年のPower Chorusのテーマである平和の歌たちだ。
米軍基地でこれらの歌を歌うことは、僕らにとってもとても意味のある出来事だ。もちろん、誰も演目のテーマなどには対した意識を払ってはおらず、僕らが喧嘩を売っているなどと思う人はいないだろうが、ロックやレゲエでラブソングを並べるバンドは他にいくらでもある中で、僕らはこれだと言える演目を歌えることは大切なことだ。
終わると、ジャンクフードを腹に詰め込んで、滑走路へ向かう。ヘリコプターに腰掛けたイケメンの白人の軍人と写真を撮る人だかりあり。軍用機がずらりと並ぶ滑走路は壮観。軍用ジェットが轟音をたてて飛び立ち、軍用ヘリがホバリングする。
その間僕は、戦争について、そして、実際のところ人の命を奪う兵器である飛行機と、その飛びたつ姿の重厚な印象を楽しむ自分との関係に想いを巡らせる。そこに、少なくとも感情的には矛盾がないことは確かで、それがなぜなのかと考える。
僕は、あの飛行機に乗っている人々や、整備する人々を知っている。彼らの家族や笑顔や、週末の過ごし方を知っている。だから、彼らを間違った連中だと考えたり、ましてや憎しみの目で見ることはない。
戦争がなくなるといいね、と僕が言ったら、「ああ、その通りだな。」と答える連中ばかりなのだ。もちろん、彼らが戦争をなくすためにとっている手段に、僕は賛成しない。彼らだって、賛成かどうかわからない。
陸軍バンドの心優しい黒人サックスプレーヤーを思い出す。「俺、銃の練習はしたくないよ。」とつぶやいていた。
僕は彼らのために毎週ピアノを弾くのが仕事だ。
僕にとって大切なのは、人として彼らを知っているということだ。平和は主義ではなく、体験だからだ。
…Tell me What’s Going On,
I tell you What’s Going On
「プラカードを持ってデモに並ぶ僕を暴力で罰さないで。俺の話をするから、お前の話をしてくれよ。そうすればわかるはずなんだ。」
Marvin Gay の歌詞が浮かぶ。
Peace.