「キーによる響きの差」音楽家の自己満か? 実験

GとAb、DとDb。半音しか違わなくても、シャープ系のキーとフラット系のキーは響きが違う、とクラシックの音楽家たちは言う。本当にそんなことがあるか。実験。

僕の最初の楽器は中一で先輩から習ったアコースティックギターだった。母が好きだったさだまさしや中島みゆきから始め、ビートルズには夢中になったが、曲のキーが合わなければ「カポタスト」をつけて移調し、丁度いいキーで弾いていた。

そんな僕が高校2年で一念発起しピアノを爆練。やがて音楽大学に入学したとき、クラシックの曲のタイトルにニ短調、ホ長調などとついているのを見て違和感を覚えたものだ。

アイネ・クライネ・ナハト・ムジークはG、ヴィヴァルディの四季の春はE、第九はD。悲愴第二楽章はAb、「新世界より」2楽章はDb..。確かに、明るく力強い曲はシャープ系、穏やかな楽曲にはフラット系が多い。

でも、キーなど必要に合わせて変えるものであって、その響きに差があるなどと言うのは絶対音感の持ち主たちの自己満足だと考えていた。

当時の僕の最も気に入りの授業は和声学。作曲科の准教授である脱線したお喋りの好きなその授業の先生が、ある日の授業でさらりと口にした。「”新世界より”の第二楽章(Db)をDで演奏したりしたら弦楽器が鳴り響いてしまってとても聴けたもんじゃない。」

はあなるほど。

ギターを思い出した。開放弦の多いEのコードはじゃらんと鳴らすとよく鳴り響く。Fは全ての弦が間接的に指に触れているため(フレットで一回留められるので振動体としての弦には触れていない)確かにEほどは響かない。でもそんなことを音楽全体に与える影響として考えたことはない。しかしクラシックの作曲家たちにとっては音色が変わる以上はキー選択は音楽性の重要な要素なのだ、と言うことをその時に知った。全く、この先生の脱線おしゃべりは価値に富んでいて、今も多くの財産になっている。

以来、響きに耳をそば立てるようにはなったものの、弦楽器を単独で聞いてみて響きの差を聞く機会はなかなかない。

今年になって器楽専攻性の多いクラスを持たせてもらうことになり、良い機会なので協力してもらって記録させてもらうこととした。ポピュラーの仲間たちやオーケストラと触れる事の少ない教育科の学生などにもいい機会になるはずだ。

波形の画像も合わせて入れて、学びやすくなっているので、ご高覧いただきたし。

GとAb、DとDb。半音しか違わなくても、シャープ系のキーとフラット系のキーは響きが違う、とクラシックの音楽家たちは言う。本当にそんなことがあるか。実験。

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